先週の月曜(7月2日)に平成30年国税路線価が発表されました。
いつものことながら、瞬間的でしたが、新聞各紙の複数ページにわたって国税路線価の記事が掲載されました。
記事の見出しのほとんどが「変動率(上昇率)」でした。
各報道で確認されているかと思いますが、
- 全国の平均変動率は前年比プラス0.7%で3年連続上昇
- 都道府県別では沖縄がプラス5%で全国トップ
というのが注目される点かと思います。
そもそも、この「路線価」というものは、全国の道路に面した1平方メートル当たりの土地の評価額のことです。
国土交通省が公表する公示地価の8割を目安に国税庁が算出してます。
つまり、国税路線価の基となるのが「公示地価」ということです。
この公示地価について、バブル期の1991年に全国最高だったのが銀座でした。
1平方メートル当たりが3850万円でした。
そして、今年2018年は何と5550万円とバブル期の地価を超えており、一部ではバブル再来とも言われているようです。
地価、つまり土地の値段というのは、ほかの商製品と同様、需要と供給の関係で決まります。
供給される以上に、「その土地が欲しい」という需要者が多ければ、現在の価格より上がりますし、需要者が少なければ現在の価格より下がります。
先ほどご紹介した銀座について言えば、昨春開業した「GINZA SIX(ギンザシックス)」をはじめ東京五輪を見据えた再開発が進んでいることに加え、訪日客を中心に観光や買い物で人が集まっています。
当然、人が集まるところにはお金が落ちますから、この銀座に限ったことでなく投資価値が見込めると判断されて需要が供給を上回ることになれば、地価の過熱感が伺える(つまり地価の上昇)ということになります。
さらに、少子化や人口減少に対応するため、外国人や外国企業のチカラで日本の国力を維持しようとしてます。
具体的に言うと、政府はビザの緩和で訪日客を増やしたり、外国企業を誘致しようとしています。
そして、多くの企業や自治体はそれをみながら動いていますから、ホテルやオフィスが不足すると見込まれる地域では需要が過剰となり、供給者側は強気の価格設定が可能となっています。
ただ、イケイケドンドンの地域はあくまでも「需要>供給」となるところに限定されます。
90年代のバブル期は都心も郊外もそろって高騰しましたから、現在の地価上昇はこの点が異なります。
これは商業地に限らず、住宅地でも同様です。
最近は夫婦共稼ぎが当たり前になり、通勤に便利なところにしか住みたがりません。
「人が集まりやすい」「住むのに便利」でないなら、地価は下落ないしは現状維持となります。
要は、ロケーション(立地)がより重要視されることになります。
今後は少子化の影響でファミリー層は減少するでしょうし、医療関係の支出が増えて金銭的な余裕がなくなるシニア層が増加するでしょうから、買い手(需要者)の激減は避けられません。
また、住宅用地の供給はかなり増加する見通しです。
一つは「相続」です。
シニア世代の多くが郊外に家を持っていますが、相続が発生した場合、便利でない立地なら売却や賃貸に出される可能性があります。
また、「生産緑地法」も大きな要因です。
1992年の法改正で30年間農業を続ければ農家の固定資産税が減免されましたが、その多くが2022年に期限となります。
その結果、主要都市の都市農地が宅地に変わることとなり、後継者がいなければ売却や有効活用のため賃貸マンションにする動きが出てくるでしょう。
さらに、消費増税もさることながら、現在のマイナス金利政策が変わって金利上昇となれば不動産市場は打撃を受けることになります。
これまで住宅購入のため3000万円借りることができたのに、2000万円しか借りられないとなれば、価格を下げて売ることにならざるを得ないからです。
国税路線価の各報道では「地価上昇」面を大きく取り上げていました。
でも、詳しく読むと、郊外や地方は下落基調が進行しているとふれていました。
近い将来、地価上昇よりも「地価下落」の見出し方が大きくなっているかも知れませんね・・・
空き家問題についてもこちらのページでふれています。
是非お読み頂ければと思います。