「家賃評価」事案のご紹介

弊所ホームページのトップページに

紹介している評価事案の中で

今日は特に紹介したい事案があります。

案件の所在は「神戸市」で

税理士先生にご紹介いただいた個人様からの

「継続家賃評価」の依頼です。

【ご依頼の背景】

ご依頼者は、ある大型商業施設の

ワンフロアーを某法人に貸しており、

それに相応した家賃を受け取っています。

某法人との賃貸借にかかる

一番最初の契約(原契約)は

昭和期(いわゆるバブル以前)でした。

その後、数次の改定を経て

平成15年に最終改定を行って

現行賃料が締結されました。

それから15年の間に結果として、

同案件が立地する土地価格は

220%(+120%)と大きく上昇しました。

建物価格は経年劣化しましたが

その分を上回る土地価格の上昇で

資産価値は、最終改定を行った

平成15年の時より160%(+60%)

の上昇となりました。

『資産価値が上昇したのだから

 家賃も上昇する』ので

15年間改定していなかった家賃を

見直す(増額する)ために

当方に継続家賃の鑑定評価の

ご依頼があったわけです。

【家賃上昇の評価をしました】

少々、専門的な話になるのですが

資産価値が上昇した分と同じ程度の

家賃上昇は見込めません。

つまり、本件でいうと

資産価値は160%(+60%)上昇しましたが

家賃上昇分は「それ未満」です。

これを『賃料の粘着性』といって、

当事者間で合意した以前の賃料水準に

大きく影響を受けるわけです。

そのため、本件の家賃上昇分は

140%(+40%)程度と評価しました。

【相手方も鑑定評価を行ったところ・・・】

同鑑定評価をもって、

ワンフロアーを借りている某法人に

家賃増額を要望したところ

当然ながら、某法人より抵抗を受け、

某法人も別の不動産鑑定士に

継続家賃評価の依頼を行いました。

しばらくして、

その某法人から依頼を受けた

不動産鑑定士の鑑定評価書をみて

驚きました。

現行家賃より「減額」された家賃を

鑑定評価の結論としているからです!

専門家としての良識を捨て

借手側の法人の都合に合わせた鑑定評価を

行ったわけです。

この鑑定士も資産価値自体は

15年前と比べて170%以上(+70%以上)と

「上昇」していると評価しています。

にもかかわらず、

家賃は現行水準よりも95%(▲5%)に

「減額すべき」と評価しているのです!

意味がわかりません・・・

相手方鑑定書を細かくみてみると

・資産価値の一部の土地価格に価格形成要因の見落としがある

・資産価値の一部の建物価格についても見落としがある

・賃料相場の検証ができていない

・必要諸経費の査定が「循環論」に陥っている

・根拠不明な価値減額

・利回り査定が明らかに誤っている

・都合の良い数値を採用している

などなど、

賃料評価は未経験では?

と思うほどひどいもので

同じ資格者かと思うと

ゾッとする鑑定内容です。

ちなみに、その相手方鑑定士は

「大阪市中央区淡路町1丁目」に

事務所を構える不動産鑑定士で

インターネットにおいて

「金融機関、裁判所の依頼が主たる顧客先です。

 特殊な案件では税理士法人、弁護士法人からの

 相談鑑定業務があります。

 その他、大学での非常勤講師、

 (財)不動産近代流通化センターの講師を務め

 不動産教育にも力を注いでいます。」

とうたい、

「税理士、弁護士事務所から遺言執行に係る鑑定依頼があります。

 特に山林、農地の場合、市街化、市街化調整区域を問わず、

 実証性に富む評価を心がけています。

 珍しい例では山間部の立木の評価をすることもあります。」

ということを”強み”と言っています。

本当ですか?

とても信じられません・・・

【専門家を疑って下さい】

現在はそれぞれ弁護士先生をつけて

裁判中です。

裁判所の方でも、

別の不動産鑑定士の意見を

とっているようです。

一般の方もそうですが、裁判所も

鑑定評価書の内容が正しいのかどうか?

を判断(区別)することは難しいです。

でも、

『資産価値が上昇したのなら

 家賃水準も上昇する』

という感覚(というか常識)を

大事にして下さい。

「専門家が言っているのだから・・・」

と専門家もどきの言うことを

鵜呑みにしないで下さい。

どうしても、判断できない場合は

遠慮なく弊所にご相談下さい。

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