Blog/2016-12-05

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今の地代は安いのか?高いのか?

先日、「底地」についてのお問い合わせがありました。

「底地」というのは、借地権が付着した土地の所有権のことです。



例えば、Aさんがある土地を持っているとします。

その土地をAさんがBさんに貸し付け(Bさんがその土地を借りて)、Bさんがその土地の上に建物を建てている場合、その土地に対するAさんの権利のことです。

当然、Aさんはその土地が自分の土地なのに自身で使用することができませんが、Bさんから借地料(地代)を得ることができます。

「底地」の価値というのは、この借地料(地代)がいくら徴収できるかで決まるというのが基本的な考え方です。

つまり、同じ道路沿い(隣通し、若しくは対面)に、同じ条件(間口・奥行・面積・形状等)の甲・乙という底地があった場合、甲は乙よりも高い地代が徴収できているなら、甲の底地の方が乙より高い価値ということになります。

見た目は同じ状況でも、価値が異なってくるわけです。



では、地代が適正なのか(高いのか?安いのか?)について、その"モノサシ(基準)"が大事になってきます。

土地を貸す立場にある地主さんなら、その土地に対する公租公課(固定資産税等)がわかります。

この公租公課は、その土地の価値(土地価格そのもの)によって決定されます。

そして、基本的には土地価格そのものが高ければ、借地料(地代)も高くなる関係にあります。

ということは、公租公課と借地料(地代)との間にも一定の関係があると推測されます。



以前、ある案件を処理するにあたって、近畿圏の住宅地での【戸建住宅敷地】を目的とした底地の事例を分析して、土地の公租公課に対する借地料(地代)の倍率を調査しました。

その結果は幅広いモノでしたが、この時の案件(土地)についてはおおむね7倍程度と推量できました。

例えば、対象となる土地の公租公課が10万円だとしましょう。

かなりザックリとした目安なのですが、その7倍である70万円が1年で徴収できる大まかな借地料(地代)、つまり"モノサシ"となります。

月額あたりの借地料(地代)は、これを12(ヶ月)で割れば計算できます。



ちなみに、

・厳密には元本である土地価格自体が高く(安く)なればなるほど、この倍率は小さく(大きく)なっていく傾向があります。

・また、上記倍率は貸家を含めて借地料(地代)についてのデータが周辺に確認できない場合の"目安"です。

ですので、どんな【戸建住宅敷地】を目的とした底地でも「借地料(地代)=公租公課の7倍」というわけではなく、あくまで"目安(傾向値)"ということにご注意ください。



先日の「底地」についてのお問い合わせは、所有している「底地をより高く売却したい」ので、そのための鑑定評価を考えているという内容でしたが、借地料(地代)がこの倍率をかなり下回る水準だったので、借地料(地代)徴収権を基にした「底地」の価値は思った以上に低いものになる可能性が高いと申し上げました。

結果的に、正式な鑑定評価のご依頼とはならず正直残念でしたが、役に立たない鑑定評価書を発行しても仕方ありません。



このように、正式なご依頼の前でもある程度の"方向性"がお示しできる場合もありますので、「この不動産の価値っていくら何だろう?」と、ちょっとした疑問でもありましたらご遠慮なくお問い合わせください。





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